最近観た映画をまとめて
「投げろや、巧。ワシがぜんぶ受け止めちゃる」
孤高の天才野球少年・巧が、包容力豊かな剛と出会い、徐々に周囲に対して心を開いていく成長の記録。
最初に映画化の話を聞いたときは、「巧のイメージを具象化するのは難しいんじゃないかな」と思ったものだが、それを良い方向に裏切ってくれた。主演の林遣都くんに出会ったときに滝田カントクは映画の成功を確信した、と述べたそうだけど、うん、納得。イメージに合致してた。ストーリーの終盤に見せた表情は、快心の笑顔ではなくて、もっとクールな笑みであった方が良かったが、まあ映画の方は原作と違って、剛以外との人間関係も重視しているので、これはこれで納得できる。原作のファンにも原作を読んでいない人にも、楽しめる作品じゃないかなあ。これってなかなか難しいはずなんだけどね。良作。
おもしろいのは、天海祐希演じる母親。病弱な青波を徹底的に保護し、自分の意志で自由に振る舞う巧を憎み、非難する。その感覚は私には理解できないのだが、映画を観た女性に聞くと、「大半の女性は同じように行動してしまうんじゃないかな」とのこと。確かにウチの嫁さんもそうするだろうなと合点。女性はやっぱりありがたい存在だよなあ、と。
トウキビの収穫の手伝いにそれぞれに心に傷を抱えた若者が沖縄の離島に集まるというお話。「非日常」=「深呼吸」として表現しているわけね。「深呼吸をしても状況はなにも変わらないけど、でもきっと楽しくなるから」。そゆこと。でも、このテのできすぎた青春話はチと苦手。
うだつの上がらない父親が息子に失望を与えないため、自然史博物館の夜警の仕事に就いたのだが、夜になるとそこに展示されていた恐竜や人形に生命が宿るのだった…。
ベン・スティラー好きにはたまらない一作。馬鹿げた設定を心温まるヒューマンドラマに仕立て上げている。ご家族で是非どうぞ、な娯楽作。
痴漢冤罪を巡る騒動を描写しながら、現代の裁判制度に異議を唱える周防正行監督の最新作。「まず有罪ありき」の現行制度は、この国の制度を象徴しているし、それは私たちが属する社会を象徴しているとも言える。自分も疑わしきを罰していないだろうか、と心に問いかけ直さなくてはならない。それと同時に、本来、法というものは秩序を維持するための‘抑制’のためのシステムであって、この枠組みと生活そのものとは距離感があって然るべきなんだけど、だんだんその距離が狭まってるんだなと感じざるを得ない。『行列のできる〜』なんてのが高視聴率を上げる世の中はどこか違っていると思うけどね。
二流の詐欺グループがとりあえずの成功を収めて、その帰途の電車内で繰り広げる騙し合い化かし合い。このテの密室劇には傑作が多い。潜水艦モノが概ねアタリであるように、設定説明に要する時間が少なく、人間心理を描きやすいためであろう。が、この作品の出来は二流どころか三流のそれ。ミステリーとしての質は低く動機も曖昧。なにそれ、勝手にやってろ、な話。
メキシコ万歳!!ってのが、見終えてからの感想だったのだけど、徐々に来るね、コレ。しかしながら、その思索の果てに必ず壁にぶつかってしまう自分がいる。日本人は自らを律しすぎるのかもしれないが、それが不要なものではないように思える。しばらく経てから見直したい一作。